令和7年度関東歴史教育研究協議会茨城大会の報告

令和7年12月6日(土)水戸三の丸庁舎にて令和7年度関東歴史教育研究協議会茨城大会が開催されました。

丸小野壮太先生(常磐大学高等学校教諭)より、「いかに『歴史総合』と『世界史探究』を接続できるか ―開かれた古代地中海世界史研究を手がかりにして―」と題した発表が行われました。発表では、古代地中海世界を固定的・閉鎖的に捉えるのではなく、人・モノ・情報の往来という視点から再構成することで、「歴史総合」で育成される歴史的思考力と「世界史探究」における専門的理解とを有機的に接続できる可能性が示され、学問的研究成果を高等学校教育へと架橋する視点は、今後のカリキュラム設計に大きな示唆を与えるものでした。

鈴木詩織先生(茨城県立三和高等学校教諭)からは、「『母性』概念を問い直す日本史探究の授業実践」について報告がなされました。近代以降に形成されてきた「母性」という概念を歴史的に相対化し、生徒が史資料を基に概念そのものを問い直す授業構成は、日本史探究における「問いの設定」と「歴史解釈の多様性」を具体的に体現する実践発表となりました。ジェンダーの視点を含めた現代的課題と歴史学習を結び付ける意義が明確に示され、実践的示唆に富みました。


千葉真由美先生(茨城大学教育学部 教授)による講演「検地はいかにして行われたか ―検地の再現と授業実践を通して―」では、検地を単なる制度知識として扱うのではなく、当時の作業工程や人々の関わりを再現的に捉える大学生を対象とした授業実践が紹介された。体験的・探究的な学習を通して、学生が歴史事象を「自ら考える対象」として理解していく過程は、探究的学習の在り方を具体的に示すものであり、大学と高等学校の連携の意義も強く感じることができる素晴らしいご講演をいただきました。

また、小圷のり子 氏(弘道館事務所主任研究員)、瀬戸 祐介 氏(弘道館事務所研究員)、関口 慶久 氏(水戸市教育委員会歴史文化財課副参事兼課長補佐)のご協力のもと、弘道館と水戸城大手門の史跡見学を実施しました。通常は非公開である弘道館八卦堂、孔子廟、水戸城大手門2階を含む魅力的な内容は、日々の授業に還元される内容であり、生徒の歴史的な思考力を高める視点につながりました。

今年度の歴史部行事は以上となります。来年度に向けてさらに魅力的な行事を検討してまいります。

最後になりますが、講演会講師の千葉先生をはじめ、実践発表していただいた先生方、実行委員の先生方、当日参加いただいた先生方のご協力に深く御礼を申し上げます